新連載 !!
1977年の創刊以来、約47年の歴史を持つ【目の眼】。
そのなかには、骨董愛好家として、コレクターとして有用な情報が満載されています。
ただ500冊以上も並んでいると長い歴史がある分、どれを読んでいいか分からないと言う声にお応えし新連載を開始します。
より目の眼を堪能していただくため、定期的に目の眼のバックナンバーをご紹介。
今回ご紹介するのは
「目の眼」創刊号 1977年9月号

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内容紹介・読みどころ
記念すべき創刊号の巻頭特集は北大路魯山人。

時代を越え、現在も様々な分野で影響を与え続ける‘美術界の偉才”を古美術鑑賞の視点から読み解いている。
北大路魯山人は書、日本画や篆刻、そして陶磁器などを自ら手掛ける美術作家として知られる。その一方で美術骨董店や会員制料亭・星岡茶寮を手がけ、古美術や美食についての“審美の鬼才”としても、今日でも傑出した存在といえる。本特集では魯山人の審美眼に焦点を当てた、魯山人の弟子・吉田耕三による評伝を掲載している。
また同号では魯山人が携わった会員制料亭・星岡茶寮の支配人を務めた秦秀雄と細井冨貴子(「銀花」編集長/当時)による、“美をみる哲学”をテーマにした対談が行われ、秦による魯山人の思い出が記されている。

さらに骨董随筆でも知られる秦秀雄の連載「骨董人生五十年・とっくり抄」もスタート。著書『珍品鑑賞』に連なる“とっくり”を題材にした味わい深い内容が楽しめる。

第二特集では雑誌『工藝』に注目している。民衆の生活に根ざした日用品の美しさを今日まで伝える“民藝”の提唱者・柳宗悦が生み出した、全120冊の雑誌である。「東北の民芸」「李朝の陶磁器」「スリップウェア」「くらわんか」など、現在でも人気の高いテーマを取り挙げ、創刊号の表紙を手がけた芹沢銈介、河井寛次郎、濱田庄司、バーナード・リーチなど民藝の代表作家たちも登場。民藝を知る上で欠かせない雑誌である。

この特集では充実した誌面の紹介にとどまらず、『工藝』を装幀や造本にメッセージを宿した美術品として捉えている。布製の表紙、和紙による本文用紙や文字組みなど、デザインの美しさや魅力を伝えている。
また『工藝』全120冊の特集一覧や創刊号の目次を掲載。特に創刊号の目次には2024年に逝去した染色家・柚木沙弥郎や、世界的評価でも知られる版画家・棟方志功が名前を発見できる。資料面においても見逃せない。
その他、本誌「民芸さまざま」欄では「山中先生かっぱ採集記」を掲載。かっぱをめぐる民話を蒐集し「世直しかっぱまつり」「現代河童美術展」を開催する“かっぱ博士”こと山中登氏が登場。初出から40年以上を経た現在でも、他では読めない異色の記事といえよう。

(本文:前田和彦)