源内焼とは、かの平賀源内がプロデュースしたやきものの一群を指す。
平賀源内は、江戸中期に現れた特異な人物。武家の生まれではあるが、幼少の頃から学問に興味を示し本草学から始まって、儒学者、蘭学者、医者、地質学者、殖産事業家、戯作者、浄瑠璃作者、俳人、蘭画家、発明家など、ジャンルを横断してさまざまな顔を持ち、マルチに活躍した。その異能ぶりは昨年放送された大河ドラマ「べらぼう」でも採りあげられ、物語の中核を担う活躍ぶりを見せた。
そんな現代人からも注目される平賀源内が、陶工や仲間とともに手がけた陶磁器はのちに「源内焼」と呼ばれるが、それはやはり、それまでの日本のやきものの流れとは一線を画した展開を見せた。

本書は、いまに伝わる源内焼の代表作から約180点を収録し、最新の研究成果、現代の視点からあらためて紹介した図録で、いつ、誰が、どのようにその制作に関わり、そのデザインや技法の特徴、当時価格はどれほどでいかように流通したのかといった「源内焼の始まりから終わりまで」をわかりやすく解説している。

基本的な解説に加えて、田沼意次をはじめ源内焼に関わった人々のエピソードを小説仕立てにしてこぼれ話的に紹介しているのも楽しい。
著者は、骨董古美術研究家・古美術商として活動する島津法樹氏で、『骨董ハンター南方見聞録』、『南海出土の中国陶磁』、『骨董ネットビジネス入門』といった著書は本誌でも過去に紹介した。A4判 オールカラー 上製 308頁という力作、やきものファンは一度目を通していただきたい。
【書籍INFO】
書籍 「源内焼考」
雄山閣 / 9,900円+税 /2026年2月27日
